アルコホールイズム、このイズムとは、依存症特有の行動や思想を指す言葉で、一概に「これ」という説明が出来ません。ですが、依存症者と共に生活をした事がある人なら、きっと理解していただけると思います。

イズムとは、ISM- I:私は、Self:自身、Me:私 と説明されています。自分を中心に物事をコントロールしようとする思想や行動の事です。自分を中心に自分をコントロールするのが健康な人間の行動なのですが、イズムを持っている人は、自分を変える事なく、相手を変えてしまおうと考える訳です。又は、自分を相手に合わせて都合よく変え、自分を相手にコントロールさせたりします。イズムを持ったままでいると、周りの人にイズムが伝わっていき、依存症になってしまう人が出てきたり、子供等がACOAになってしまったりするのです。

私は、依存症という病気に関わるすべての人が、このイズムを少なからず持っていて、イズムを無くす努力をするべきだと思います。そうでなければ、依存症という病気は時代を超えて、同じ家族に繰り返し、やって来る事でしょう。見極めるのはイズムであり、お酒だけの問題ではないのです。

あまりにも漠然として、一体何がイズムだか分らない人も多いでしょう。ここではイズムの例をあげていこうと思います。

何か成功したら自分の手柄だと思いこむ
子供の成績などを自分の努力の結果のように話す人、自分が買った物でもないのに自慢げにする人、夫の部下も自分の部下のように思う人、貴方の為に私はこんな事をしてあげたからだという人など

何か失敗したら自分のせいだと思い込む
子供の失敗を自分の努力が足りなかったからだと思う人、人が失敗をしたら自分の注意が足りなかったからだと思う人、関係ない事なのに謝ってしまう人など

自分に嘘をついて他人を操る人(ポイントです)
自分は間違っていると思っても相手が間違っていると言い張る人、自分のせいで問題が起きても他人のせいにして作り話などする人、人に自分の欠点を言われたら心で同意していながらもひどく反発する人、してはいけないと思っていても「何とかなる」と思い込んでしてしまう人、貴方の為にやりたくない事だけどしてあげた等と言い罪悪感を持たせる人、このコは不出来だといつも言う事で他人の同情を買う、私はこんなにしてあげたのにと言って責任逃れする人など

自分の為に相手を使う人
機嫌が悪い時に相手に当たり相手に罪悪感をもたせる人、したくない事は人にやらせようと思い相手の任務だと説明する人、自分のおかげで貴方がいるのだと言って物事を命令する人、自分が満足する為に子供に仕付けをする人、自分の夢を子供に託す人、など

自分が中心になっていないと気にいらない人

計画をたてる時は自分が中心でなければ嫌な人、自分が一番先に選ぶ権利があると思っている人、家族の中で一番大切なのは自分だと思っている人、子供が自分にしてくれるもんだと思い込んでいる人、妻はこうあるべきだと強く信じている人など

自分は特別だと思っている人
人の意見も自分は特別だから関係ないと思っている人、人と違っていても自分は許されると思う事で現実逃避する人、自分が人と同じに扱われるとそれを認めたくないので異常な反発をして見せる人など

自分がやらなきゃいけないと思っている人
他人の事まで自分の責任に思えて世話を焼く人、他人の任務もその人に任せておられずに自分が背負ってしまう人、人が教えてくれた事も自分で確認しないと信じられない人など


その他、どうせ自分は…と思っている人、自分に関する質問に答えない人など、その形は色々あります。これらの事は、依存症者の行動に当てはまる部分もあると思います。とくに飲酒中の依存症者は自己中心的になり、多くのイズムを表に出してきます。上記の例を見て分っていただけるでしょうか、イズムは自己嫌悪、自己中心、自分勝手、無責任、非常識等がぐるぐると回っている行動なのです。そして、依存症者を取り巻く私達の中にも、イズムは潜んでいるのです。

依存症者が飲酒中にこれらのイズムに慣れてしまうと、いざ断酒しても、イズムの思想は残ります。ドライと言われる状態で、お酒を飲んでいないものの、考え方や行動は飲酒中の頃から変わっていないので、次の世代へとイズムが受け継がれ、さらなる依存症を生む訳です。

また、家族がイズムを多く持っている場合は、いくら依存症者が断酒をしても、家族から伝わるイズムによって再飲酒をしたりします。

お酒を飲むから依存症ではないのです。お酒を飲まない人でも、お酒を飲む依存症者と同じ心<イズム>を持っていれば、将来依存症になる可能性もあるでしょうし、周りに新しい依存症者を生み出す可能性も高いでしょう。イズムのない健康な心を持つ事によって だけ、依存症という病気を断つ事ができるのです。その為には、家族も依存症者も皆、同じようにイズムを見つめ、切り離す努力をしなければいけないのです。

依存症者の行動に腹を立てた事は、家族の私達には必ずあるでしょう。でも、そんな時、依存症者の行動からイズムを理解し、更に自分にも同じイズムがないか、自問してみましょう。気がついた時には、辛いけれども自分の否を受け入れ、変える努力をする事です。それが本当の回復であり、ソブラエティでもあるのです。家庭の中にあるイズムが少しづつ減っていく事で、家族全体が健康になっていきます。まずは、自分の中に根付いているイズムを取り去り、健康な心と冷静さを保つ事ができれば、依存症者との生活も自然と明るい方向へ向かうでしょう。

依存症者に断酒を要求する事よりも、自分自身の回復の方が、うんとうんと大切な事であり、する価値は充分にあります。イズムを切り離す事で、自分の顔がしっかりとしてきます、声も落ち着いて来るでしょう。そして自分を取り巻く多くの人に、良い影響を与えます。依存症者が希望を掴む事だって、あるのですから。

今までのページを読み終えたら、いよいよ次のページは依存症者とのコミュニケーションについて、です。

私の汚れを指す前に、貴方の指をきれいにしてくれ
ベンジャミン=フランクリン

ISM<イズム>について
一番大切な事