メインページへ

Cinema Sha-Verite...トップページへ 

Cinema Sha-verite... vol.9

              

北野劇場、お前もか?!(前編)


July 4, 1999 (Sunday)

北野劇場(大阪/梅田キタ)¥2、000円

 昨夜、「スターウォーズ:エピソード1」の先行オールナイトに行ってきました。
せっかく帰国しているし、日本の観客のリアクションなどに興味シンシンだったので、
友人のS君と一緒に観に行くことにしました。S君は土曜日なのにもかかわらず仕事を
しなければならず、結局僕一人で並ぶ事になりましたが・・・

 今日は(ちょっと長くなりますが)ボヤかせていただきます!

 北野劇場は梅田キタの中心部にあるファッションビル「ナビオ」の最上階にあり、
大阪市内で唯一1000人を越えるキャパを持つ劇場です。この劇場は東宝が
誇る洋画系のAクラス劇場で、昔から「キタで大作を観るなら北野」と言われていました。
昔は梅田劇場と並んで1階にあって、「ポセイドン・アドベンチャー」を満員の観客に
モミクチャにされながら観ました。70年後半に一旦取り壊されて、80年前半に(だったと思う)
ナビオがオープンした時は、東宝東和配給の「レイズ・ザ・タイタニック」でこけら落としをしたと
記憶しています。
 背持たれが大きく伸びた座席、前の人の頭が気にならないように少し上目に設営されたスクリーンや
特別設計された音響の良さが売りで、「レイダーズ」を観た時はインディのピストルの音のクリアな
事にド胆を抜かれました。

 僕にとって好感度ナンバーワンだった北野劇場ですが、アメリカの映画館で映画を
観始めるようになって、その印象は急降下していきました。

「ジュラシック・パーク」が日本公開された際、日本でもDTS(デジタル・シアター・システムズ)を
採用するという事で、配給元のUIPの依頼でアメリカからやってきたDTSエンジニアの
マイク・スカーザット氏の通訳兼アシスタントを引き受けることになりました。僕は名古屋と大阪の劇場に
関してアシストするという事になっていて、マイクとは名古屋で合流。東宝系の劇場(名鉄東宝?)で
DTSのチェックを始めました。僕たちが到着した時はDTSユニットがすでにインストール
されていましたが、マイクがピンクノイズ・チェックを始めると、なんと左チャンネルの音が
右チャンネルから聞こえるじゃないですか!各チャンネルの結線がムチャクチャになっていたのです。
あきれかえったマイクは「これじゃテストできない。すぐに配線し直してください」と指示。
試写会を翌日に控えて映写技師たちは真っ青になっていました。僕たちはその晩に大阪入りを
しなければならなかったので、あとの配線とチェックは劇場関係者に委ね、新幹線で移動。
 翌日は午後から北野劇場へ。当時、ユニバーサルは松下電器の傘下にあったので、東宝ならびに
UIPの関係者も松下重役たちの出席とあってピリピリ。東京からUIP日本支社の全権を握っていると
言われているI女史もやってきて、UIP関西支社の方は余計にピリピリ。楽しい雰囲気なぞ微塵もナシ。
 DTSの主音源はCDに収録されており、フィルムに記憶された信号とシンクロしながら
デジタルサラウンドサウンドを再生するという仕組み。万一CDの方が不調になってもバックアップ機能が
働き、フィルムにプリントされた光学オプチカルサウンド(ドルビーステレオ)に切り替わるようになって
います。僕たちはこれをテストするためにマイクがアメリカから持参したテストフィルムを上映することに
しました。
 ピングノイズ・チェックは合格。ですが、マイクの表情が曇り気味。どうやら音圧と映写照度に
不満がある様子。DTSの基本的な最大音圧は劇場内のスイートスポット(スクリーンの横幅を
正三角形の底辺に見立てて、その頂点にあたる位置。一番音がいい座席)で測定して80デシベル。
かなり大きい音です。正確な数字は忘れましたが、この時の測定値がかなり低かったことは覚えています。
また映写機の照度もかなり低めに設定されていて、夜のシーンなどはディテールが読みとれない状態。
事情を尋ねてみると、ビルの設計ミスか何かの原因で十分な電力が劇場に供給されていないとの事。
ではなぜ映写機やアンプの設定が低くなっていたのか・・・。マイクが最後まで不思議がっていました。
 これはあくまでも推測ですが、劇場側が電気代をケチって、そのトバッチリが映写と音響の不備に
つながっているのではないでしょうか?その夜、マイクと一杯やりながらそんな話で盛り上がりました。
 世界的に有名なピアニストを連れてきても、ピアノが完璧に調律されていなかったらピアニストは
その技量を十分に発揮できません・・・。日本の劇場の現状を示すピッタリな「たとえ」だと思いませんか?

 さて、本題に入りましょう・・・。

 

 

 

Ciname Sha-verite... トップページへ